
「お菓子屋さんって、1日どんな働き方なの?」――よく聞かれます。今日は私の“リアルな1日”を、朝から夜まで全部お見せします。
ショーケースにきれいに並んだケーキ。お客さんが目にするのは、その一瞬です。でも、その1個のケーキが店頭に並ぶまでには、お店が開いている時間の何倍もの仕事があります。
この記事では、製菓店を長年営んできた私マロンのリアルな1日のスケジュールを、正直にお見せします。結論から言うと、私の1日は朝4時起き・トータルで約14時間労働です。
「お菓子屋さんって素敵」という憧れだけでなく、その裏側のリアルも知ったうえで、開業を考えてほしい。そんな思いで書きます。
まずは全体像:私の1日のタイムスケジュール
細かい時刻はお店によって違いますが、私の場合はだいたいこんな流れです。
| 時間帯 | やること |
|---|---|
| 朝4時 | 起床 → そのまま材料の買い出しへ |
| 5時前 | 厨房に入る。午前はケーキの仕上げ |
| 朝(妻が合流) | 子どもを送り出した妻が出勤。2人で仕上げ・開店準備 |
| 開店〜日中 | 妻が接客、私は製造。混んだら私も店頭へ |
| お昼 | 休憩を取れる日もあれば、取れない日も |
| 午後 | 翌日の仕込み(ここは私ひとり) |
| 夕方 | 妻は子どものお迎えで先に帰宅 |
| 閉店後 | 片付け・レジ合わせ(約1時間)→ 翌日の買い出し |
| 夜8時ごろ | 帰宅 |
| 0時まで | 就寝 |
では、時間帯ごとに中身を見ていきましょう。
朝4時:起床、そして買い出しへ
私の1日は朝4時に始まります。起きたら、まず材料の買い出しに向かいます。
「なぜ朝そんなに早く?」と思うかもしれません。お菓子は素材の鮮度が命だからです。その日に使うものを、その日の朝に、いい状態でそろえる。地味ですが、味に直結する大事な工程です。
5時前:厨房に入る。午前は「ケーキの仕上げ」
買い出しを終えて、5時前には厨房に入ります。
午前中のメインは、ケーキの仕上げ。前日までに仕込んでおいた生地やクリームを使って、店頭に並べる商品を一つひとつ完成させていきます。

じつは、この午前の仕上げが、私の一番好きな時間なんです。準備してきた商品の、最後の仕上げ。お客さんのもとへ「送り出す準備」をしている感覚で、いちばん気持ちが乗る時間です。
朝:妻が合流。2人で開店準備
しばらくすると、妻が出勤してきます。妻は子どもを送り出してから来るので、私より少し遅い時間の合流です。
ここからは2人で、開店に向けて商品を仕上げていきます。製造は私、販売は妻という役割分担です。家族経営ならではのチームワークについては、こちらの記事にくわしく書きました。
日中:妻が接客、私は製造
お店を開けてからは、基本的に妻が接客・販売を担当します。私は厨房で製造を続けながら、お客さんが増えてきたら店頭に出て手伝う、という回し方です。
小さなお店を夫婦で回すと、こうして「手の空いたほうが動く」が自然になります。2人だからこそ、柔軟に対応できる部分です。
お昼休憩は…取れたり、取れなかったり
正直に書きます。お昼休憩は、取れる日もあれば、取れない日もあります。
2人で店を回していると、お客さんが続けば手が離せません。これは小規模なお店のリアルな部分。「決まった時間にしっかり休む」というのは、なかなか難しいのが現実です。
午後:翌日の仕込み(ここが一番大変)
午後になると、私は翌日の仕込みに入ります。生地を作ったり、クリームを炊いたり、明日のケーキの土台を準備する作業です。ここは基本、私ひとりの作業になります。
そして正直に言うと、1日の中で一番大変なのが、この午後の仕込みです。
午前から立ちっぱなしで体は疲れているのに、ここで手を抜くと翌日の商品に響く。「明日のために、今日もうひと頑張り」が毎日続く。ここを乗り越えられるかが、お菓子屋を続けられるかの分かれ目だと感じています。
夕方:妻は先に帰宅
夕方になると、妻は子どものお迎えのため、先に帰宅します。ここからは、私ひとりの時間です。
家族で店をやると、こうして「家庭の都合」と「店の都合」を毎日やりくりすることになります。大変な面もありますが、家族の生活を中心に働き方を組めるのは、独立したからこそです。
閉店後:片付け・レジ合わせ、そして買い出し
お店を閉めたら、終わりではありません。
- 店内の片付け・翌日の準備
- レジ合わせ(その日の売上の確認)
これに1時間ほどかかります。さらにその後、翌日に向けた買い出しに回ることもあります。お客さんが帰ったあとの、静かな厨房での作業です。
ちなみに、このレジ合わせは、キャッシュレス決済が増えてから、ずいぶんラクになりました。現金のお客さんが多かった頃は、計算が1円合わずに「どこでズレた?」と探す日もありました。でも、キャッシュレスが増えてからは、金額がずれる日がぐっと減ったんです。正直、もし完全キャッシュレスにできたら、レジ合わせはあっという間に終わると思います。閉店後の地味だけど大事な作業が軽くなるのは、キャッシュレスの隠れたメリットですね。
お店のキャッシュレス導入については、9年使った正直なレビューをこちらにまとめています。
夜8時ごろ帰宅、0時までに就寝
すべてを終えて、家に帰るのは夜8時ごろ。そこから家のことをして、遅くとも0時までには寝るようにしています。
そして翌朝、また4時に起きる。これが私の1日です。起きてから寝るまで、仕事に関わる時間はトータルで約14時間。体力勝負の仕事だと、あらためて思います。
休みの日は、子どもたちと過ごす
こんな毎日なので、定休日はとても大切です。
休みの日は、子どもたちと遊んで過ごすことが多いです。平日はどうしても一緒にいられる時間が限られるぶん、休みの日にしっかり向き合う。これが私のリフレッシュであり、また次の1週間をがんばる力になります。

オンとオフの切り替えは、長く続けるためにすごく大事です。働きづめでは、心も体も持ちません。「休む日はしっかり休む」も、立派な仕事のうちだと思っています。
これから開業を考えている方へ
ここまで読んで、「思ったよりハードだな」と感じた方もいるかもしれません。正直、お菓子屋は体力勝負で、労働時間も長い仕事です。
でも、私はこの1日を、つらいだけとは思っていません。自分の作ったお菓子で、誰かの特別な日を彩れる。その手応えがあるから、毎日4時に起きられます。
これから開業を考えている方に伝えたいのは、この3つです。
- 体力は資本。長く立ち、朝も早い。健康管理も仕事のうちです
- 家族や周りの協力が支えになる。一人で全部は抱えきれません
- 本当に好きじゃないと続かない。だからこそ「好きな時間」を持てる仕事を選んでほしい
開業までの具体的な流れや、お金のリアルは、こちらの記事にまとめています。あわせてどうぞ。
🍰 おまけ:お菓子の豆知識
最後まで読んでいただきありがとうございます。せっかくなので、お菓子の豆知識をひとつ。
「ショートケーキ」のショートって、どういう意味?
日本で一番愛されているケーキ、ショートケーキ。あの「ショート(short)」は、「短い」という意味ではない、という説が有力です。
英語の「short」には、「サクサクの・もろい」という食感を表す意味があります(ショートブレッドの“ショート”と同じ)。本来はサクサクした生地のお菓子を指していた、と言われています。日本では、ふわふわのスポンジ+生クリーム+いちごの形に独自進化しました。
毎朝いちばんに仕上げるのも、たいていこのショートケーキ。日本の食卓に欠かせない一品です。
――以上、9年目のお菓子屋店主マロンがお届けしました。


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