
こんにちは、マロンです。今日は数字の話ではなく、「夫婦でお菓子屋をやるって、実際どうなの?」という話をします。これから家族で開業を考えている人に、いちばん伝えたいことがあります。
お菓子屋の開業を考えるとき、多くの人は「資金」「物件」「メニュー」に目が行きます。でも、夫婦や家族で店をやるなら、それと同じくらい大事なものがあります。
結論から言います。家族経営を長く続けるいちばんのコツは、「役割を分けて、お互いの持ち場をリスペクトすること」。これに尽きます。今日はその中身を、私の実体験でお話しします。
我が家の役割分担:私が「つくる」、妻が「売る」
うちはシンプルです。私が製造(お菓子をつくる)、妻が販売(お店に立って接客・売る)。この役割で、長年やってきました。
お菓子屋は、ざっくり言うと「つくる仕事」と「売る仕事」に分かれます。どちらも専門性があって、片方だけでは店は回りません。だからこそ、2人で分担すると、すごく強いのです。
1人で開業する人は、製造も販売も経理も全部1人でやることになります。これは本当に大変。夫婦でやれるなら、その負担を半分にできる——これが家族経営の出発点です。
家族経営でいちばん良かったこと:「信頼できる」
正直、家族でやってよかったことはたくさんあります。でも、いちばんは何かと聞かれたら、迷わずこう答えます。
「相手を、心から信頼できること」です。
これは、人を雇うのとは決定的に違うところです。アルバイトやパートさんは、もちろん一生懸命働いてくれます。でも、どうしても「言われたことをやる」になりがちです。それが普通ですし、悪いことではありません。
でも、家族は違います。自分たちの店だから、雇われとは動き方が変わるのです。

妻は「どうすればもっと売れるか」「どうすればお客さんが喜ぶか」を、言われなくても自分で考えて動いてくれます。これは”自分の店”だからこそ。利益を自分ごととして考えられる——この差は本当に大きいです。
店の売上は、そのまま家族の生活に直結します。だから自然と、2人とも「利益を出そう」と本気で動く。雇われていたら、ここまでの当事者意識はなかなか生まれません。家族経営の最大の武器は、この「当事者意識」だと思っています。
正直に言うと、大変なこともあります
良いことばかり書くと嘘になるので、しんどい面も正直に。
家族経営でいちばん大変なのは、家庭の事情と、店の事情が、同時に来ることです。
たとえば、子どもが急に体調を崩したとき。普通の会社員家庭なら、どちらかが休んで看病できます。でも、夫婦そろって店に立っている我が家では、「店を回す人」と「子どもを見る人」を、その場でやりくりしないといけません。
製造の私が抜けたら、その日のお菓子がつくれない。販売の妻が抜けたら、店に立つ人がいない。こういう時は、本当にバタバタします。家族経営は、仕事と家庭がぴったりくっついているぶん、片方のトラブルがもう片方に直撃するのです。
これから家族で開業する人は、「どちらかが抜けたときどうするか」を、最初に話し合っておくことを強くおすすめします。
長く続けて分かった、たった1つの大事なこと
さて、ここが今日いちばん伝えたいことです。
夫婦で、家族で、長年お店をやってきて、続けるために何がいちばん大事だったか。それは——お互いの持ち場を、リスペクトすることでした。
役割を分けたら、その持ち場については、相手の判断を尊重する。口を出しすぎない。これがすべてだと思っています。
- 製造は私の持ち場。だから、つくり方や商品のことは、私が責任を持って決める
- 販売は妻の持ち場。だから、接客や売り方、お客さんとのことは、妻の判断を信じて任せる
夫婦で同じ職場にいると、つい相手のやり方に口を出したくなります。「もっとこうすればいいのに」と。でも、それを続けると、必ずぶつかります。家族だからこそ、遠慮がなくなって、言いすぎてしまうのです。

相手をひとりの「プロ」として見る。販売のことは妻のほうがプロだし、製造のことは私のほうがプロ。だから、お互いの領域は信じて任せる。このリスペクトを忘れないことが、長続きの秘訣だと心から思います。
家族経営は「仲が良いから続く」のではありません。仲が良くても、リスペクトがなければ続かない。逆に、お互いの持ち場を尊重し合えれば、夫婦でも親子でも、長く一緒に働けます。
家族ならではの、お金の工夫
最後に、お金の面でも家族経営ならではの工夫があります。代表的なのが「専従者給与」です。
これは、家族に給料を払うことで、節税につなげる仕組みです。たとえば妻に専従者給与を払えば、その分を経費にできます。家族で働いているなら、ぜひ知っておきたい制度です。
専従者給与をはじめ、お菓子屋の節税のリアルは、別の記事でくわしくまとめています。家族経営なら効果が大きい部分なので、あわせて読んでみてください。
これから家族・夫婦で開業する人へ
家族でお菓子屋をやるのは、楽なことばかりではありません。でも、信頼できる相手と、同じ夢に向かって店をつくっていく時間は、何ものにも代えがたいものです。
最後に、これから家族で開業する人へ、私からのメッセージをまとめます。
- 役割をはっきり分ける(つくる人・売る人・お金を見る人)
- 相手の持ち場は、信じて任せる(口を出しすぎない)
- お互いを「プロ」としてリスペクトする
- 家庭のトラブル時の動き方を、先に決めておく
- 専従者給与など、家族ならではのお金の工夫も活用する
これから開業する流れ全体は、こちらの完全ガイドにまとめています。あわせてどうぞ。
🍰 おまけ:お菓子の豆知識
結婚式の引き出物の定番「バウムクーヘン」。あの何層もの年輪には、「長く、幾重にも幸せが重なりますように」という縁起の意味が込められていて、家族の繁栄や長寿の象徴とされています。家族で一つの店を、一年また一年と重ねていく——バウムクーヘンの年輪は、まさに家族経営そのものだなと、いつも思います。
――以上、9年目のお菓子屋店主マロンがお届けしました。

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