お菓子屋の原価率は本当に35%?包材込みで実質45%のリアルと、30%値上げした実話

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マロン
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「お菓子屋の原価率って実際どのくらい?」——開業前の私が一番知りたかったことです。今日は自分の店のリアルな数字を、包み隠さず公開します。

お菓子屋・ケーキ屋の開業を考えると、必ずぶつかるのが「原価率」の壁です。ネットで調べると「ケーキ屋の原価率は30%が目安」とよく出てきます。でも、これは正直、きれいすぎる数字です。

結論から言います。うちの原価率は、材料だけで35%。生菓子に限れば40%近い。さらに包材(包装材)が約10%かかるので、実質的な原価は45%ほどです。一般論の「30%」とはかなり違います。

それでも、うちは長くお店を続けて、利益も出ています。今日は「なぜ原価率が高くてもやっていけるのか」を、リアルな数字で全部お話しします。これから開業する方が、同じ場所でつまずかないように。

うちの原価率は「材料35%+包材10%」のリアル

まず、数字を正確に分けます。ここを混同すると、開業後に「思ったより利益が残らない」とパニックになります。

項目 売上に対する割合
材料費(原価率) 約35%(生菓子は40%近く)
包材費(箱・袋・カップ等) 約10%
実質的な原価 約45%

ここで一番伝えたいのは、「原価率」と言ったとき、多くの人は材料費しか見ていないということです。でも実際のお菓子屋には、もうひとつ大きな出費があります。包材です。

ケーキの箱、焼き菓子の個包装の袋、ギフトの化粧箱、保冷剤、手提げ袋……。お菓子は「見た目」と「持ち帰り」が商品の一部なので、包材をケチれません。これが売上の約10%。材料費とは別に、確実に出ていきます。

マロン
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開業前、私は包材費を完全に見落としていました。「材料35%なら利益たっぷり」と思っていたら、箱や袋でごっそり持っていかれる。包材費は、隠れた第二の原価です。

生菓子は原価率が高い。焼き菓子で全体を下げる

同じお菓子でも、原価率は商品によって違います。

  • 生菓子(ショートケーキなど):原価率が高い。フルーツや生クリームは高価で、日持ちもしないので廃棄ロスも出やすい。40%近くになります
  • 焼き菓子(クッキー・フィナンシェなど):原価率が低め。日持ちするので廃棄も少ない

うちの全体の原価率が35%で収まっているのは、焼き菓子が全体を引き下げてくれているからです。生菓子だけのお店だと、原価率も廃棄ロスももっと厳しくなります。これから開業する方は、生菓子と焼き菓子のバランスを最初から意識すると、経営がぐっと楽になります。

原価率45%でも潰れない、本当の理由

「原価45%なんて、それで利益出るの?」と思いますよね。普通なら厳しい数字です。でも、うちが続けてこられたのには、はっきりした理由が2つあります。

理由①:家賃が、売上の約2.5%

これが最大の理由です。うちの家賃は、売上に対して約2.5%。飲食・小売の家賃は、一般的に売上の10%以下が目安と言われますが、うちはそれよりはるかに低い。

なぜこれが効くか。原価が高くても、固定費である家賃が低ければ、トータルでは利益が残るからです。逆に、どんなに原価率を頑張って下げても、駅前の高い家賃を払っていたら、利益は家賃に消えます。

マロン
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お菓子作りに集中したくて、私は「材料はケチらない。その代わり、家賃の安い小さな店で勝負する」と決めました。原価率を下げるより、固定費を下げるほうが、ずっと現実的で効きます。

理由②:広告宣伝費が、ゼロ

もうひとつ。うちは広告宣伝費を一切かけていません。チラシも、ポータルサイトへの掲載料も、有料広告も、ゼロです。

では、どうやってお客さんに知ってもらうのか。Instagramだけです。妻がInstagramの発信を担当し、私はお菓子作りに専念する。この役割分担で、広告費ゼロでも集客が回っています。

今の時代、個人のお菓子屋はSNSだけで集客できます。むしろ、写真や動画で世界観を伝えられるSNSは、お菓子と相性が抜群です。広告にお金をかける前に、まずSNSをやり込む。これが今のおすすめです。

インフレで、原価は上がり続けている

ここからは、今まさに直面している現実の話です。

食料品のインフレが、本当にすごい。バター、卵、小麦粉、砂糖、チョコレート、フルーツ……お菓子の材料は、ここ数年で軒並み値上がりしています。実際、うちの原価率も、以前は31%ほどだったのが、今は35%まで上がりました。同じものを作っているのに、原価だけが勝手に上がっていく。これがインフレの怖さです。

つまり、これから開業する方は、「原価は今後も上がる」という前提で価格を設計しないといけません。今の材料費でギリギリの価格をつけると、1〜2年で利益が消えます。

値上げの実話:30%上げたら、客数は減った。でも利益は増えた

原価が上がるなら、価格を上げるしかありません。でも、値上げは怖い。「お客さんが離れるんじゃないか」と。その気持ち、痛いほどわかります。

そこで、うちの実話を正直にお話しします。ある年、私は既存商品をすべて、思い切って30%値上げしました。結果はこうでした。

結果
値上げした年の客数 減った
値上げした年の利益 増えた
翌年からの客数 増えた
翌年からの利益 増えた

値上げした年は、確かにお客さんの数は減りました。でも、1人あたりの単価が上がったので、利益はむしろ増えた。そして驚いたことに、翌年からは客数も利益も両方増えていったんです。

一時的に離れたお客さんはいました。でも、価格に見合う価値を感じてくれるお客さんが残り、新しく来てくれる。値上げは「お客さんを失う」だけではなく、お店とお客さんの関係を、健全な形に整え直すことでもあったんです。

マロン
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値上げした瞬間は、本当に怖かったです。でも、安売りで疲弊し続けるより、適正な価格できちんと利益を出すほうが、結果的にお店も自分も長続きする。これは9年やってきての実感です。

値上げのコツ:新商品から少しずつ

とはいえ、毎回30%の一括値上げは、お客さんの心理的にきついです。だから普段は、新商品を出すたびに、その新商品の価格を少しずつ上げていくやり方をしています。

既存の商品をいきなり上げると「高くなった」と感じさせますが、新商品なら「最初からこの価格」なので、抵抗が少ない。インフレに合わせて、新商品で価格水準をじわじわ引き上げていく。これが、常連さんを驚かせずに値上げする現実的な方法です。

まとめ:原価率を下げるより、「儲かる構造」を作る

  • うちの原価は材料35%+包材10%=実質45%。一般論の「30%」より高い
  • 包材費は見落としがち。材料費とは別に約10%かかる
  • 生菓子は原価率が高い。焼き菓子で全体を平準化する
  • 高原価でも潰れない理由は家賃が売上の2.5%+広告費ゼロ(SNS集客)
  • インフレで原価は上がり続ける。値上げを前提に価格設計を
  • 値上げは怖いが、30%上げても利益は増え、翌年から客数も戻った

原価率の数字だけを見て「30%以内に抑えなきゃ」と縛られる必要はありません。大事なのは、原価・家賃・広告費を全部ひっくるめて、利益が残る構造をつくること。材料はケチらず、固定費を抑え、適正な価格をつける。これが、長く続けるお菓子屋の現実的な答えだと、私は思っています。

🍰 おまけ:お菓子の豆知識

バターの価格は、世界的な乳製品相場や円安の影響をもろに受けます。お菓子屋にとってバターは生命線。だからこそ、バターを大量に使う商品ほど、価格設定はシビアに考える必要があります。「美味しいけど原価が高すぎて利益が出ない看板商品」は、意外と多いんです。

――以上、9年目のお菓子屋店主マロンがお届けしました。

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