はじめに

辻製菓って実際どうなの?卒業生として正直に話します。
「製菓専門学校に行きたい。でも辻製菓って実際どうなの?」「学費は?寮生活は?」「卒業後の進路は?」
これは製菓の道を考えている方の最大の関心事です。
私マロンは辻製菓専門学校の卒業生で、現在ケーキ屋を開業して9年目。卒業生として正直な感想を、リアルな数字も含めてお伝えします。良いことも悪いことも包み隠さず書きます。
辻製菓専門学校の特徴
まずは客観的な特徴から。
- 洋菓子・和菓子・パン・料理など幅広く学べる
- 実習時間が非常に多い(現場で使える技術が身につく)
- 就職サポートが充実している
- 業界での知名度が高く、就職時に有利
- マンモス校(1学年で約600名規模)
業界内での知名度は本物です。面接で「辻製菓出身です」と言うと、明らかに反応が変わる場面を何度も経験しました。
私が在学していたコース・学費
参考までに、私の在学情報を公開します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| コース | 1年制コース |
| 学費 | 当時で約200万円 |
| 入学者数 | 1クラス30人ちょい × 約20クラス=1学年600人前後 |
| 居住形態 | 学校の寮(個室) |
1年制なので密度はかなり濃いです。技術を効率よく学びたい人に向いています。
製菓技術マネジメント学科のような2年制コースもあり、より深く専門技術を学びたい人はそちらを選択します。
1日のスケジュールと実習内容
ほぼ毎日、午前または午後どちらかが実習でした。
実習内容は3ジャンル:
- 洋菓子(ケーキ、焼き菓子、コンフィズリーなど)
- 和菓子(生菓子、半生菓子、伝統菓子)
- パン(食事パン、菓子パンなど)
幅広く触れることで「自分が何をやりたいか」が在学中に見えてきます。実習が多いので、卒業時には現場で即戦力になれるレベルの技術が身につきます。
これが「辻製菓出身」が業界で重宝される理由のひとつです。
寮生活のリアル
私は学校の寮(個室)で生活していました。これが今振り返ると、辻製菓に行って一番良かった部分かもしれません。
寮生活の楽しさ
男5〜6人でケーキ屋の食べ歩きに行くのが定番の遊びでした。今思うと、男だけでスイーツ巡りする絵面はなかなか笑えますが、当時は真剣そのもの。
寮生活では、
- 平日も休日も友達とずっと一緒
- 製菓談義から人生相談まで何でも話せた
- 遊びも勉強も全力でやった
これが「製菓の同期との一生モノの関係」を作る土台になりました。
先生・クラスメイトの雰囲気
先生は全体的に優しい人が多いです。中には個性的な人もいて、それも含めて辻製菓らしさがありました。
クラスは1クラス30人ちょい。製菓を志す若者が集まるので、雰囲気は熱量があって楽しい。1学年で20クラスもあるマンモス校ですが、自分のクラスメイトとは深い絆ができます。
卒業後の進路(同期のリアル)
辻製菓は知名度が高いので「みんな有名店に行く」イメージを持たれがちですが、実態は違います。
主な進路パターン
| 進路 | 多さ |
|---|---|
| 街の個人店(普通のケーキ屋・パン屋に就職) | 一番多い |
| 国内の有名パティスリーに就職 | 一定数(私の友達も行った) |
| 2年目コース(より深く学ぶ)に進学 | 一定数 |
| 辻調グループのフランス校に進学 | 一定数 |
| ホテル・大手チェーンに就職 | 一定数 |
| 就職せず一旦進路を考える期間に入る | 一定数いる |
| すぐに独立 | ほぼいない |
実は一番多いのは「街の個人店に就職するパターン」です。私の友達には有名店に進んだ人もいますが、それは一部の選ばれた人。多くの卒業生は地元や近隣の普通のケーキ屋・パン屋に就職して、現場で技術を磨きます。
「辻製菓に行ったら絶対に有名店」というプレッシャーは感じなくて大丈夫。自分に合った店で技術を磨き、必要なら数年後にステップアップ転職する。これが王道です。
そして見落とされがちですが、「卒業時点で就職を決めずに、一旦進路を考える期間に入る人」も一定数います。1年制で詰め込んで学んだ後、「自分が本当にやりたい方向性」をじっくり見極めたい、という選択です。
例えば:
- 実家がお菓子屋・パン屋で、まずは家業を手伝いながら進路を考える
- 一旦実家に戻って、自分に合う店をゆっくり探す
- 海外修業を視野に入れて準備する
「卒業=即就職」というプレッシャーは意外と少なく、自分のペースで進路を決められるのが業界の特徴です。
「卒業後すぐ独立」というパターンはほとんどいません。まずは現場で修業→数年後に独立というのが王道です。私もこの流れで、卒業後は地元には戻らず、そのまま関西の店に就職して修業をスタートしました。
卒業生として正直に思うこと
ここから本音です。
良かった点
技術面の教育は本当に充実していました。在学中に身につけた基礎技術は、今でもお店の土台になっています。独学では絶対に身につかないレベル。
正直に思う改善点
一方で、経営・開業に関する知識はほとんど学べません。
お菓子を「作る」技術と、お菓子屋を「経営する」知識は全くの別物。私自身、開業してから経営の難しさを痛感しました。これは辻製菓に限らず、製菓専門学校全般に言えることです。
一番得たもの=「人脈」
辻製菓に行って一番得たものは何か。今9年経って改めて思いますが、それは人脈です。
寮で同じ釜の飯を食った仲間、クラスメイト、先輩・後輩。全国に「同じ志を持つパティシエ仲間」が散らばっているのが、本当に大きな財産です。
例えば、
- 業界の最新情報が入ってくる
- 困ったときに相談できる
- 「あの店の◯◯さん知ってる?」で話が早い
- 食材・道具の情報交換ができる
これは独学やオンラインスクールでは絶対に得られないものです。製菓専門学校に行く本当の価値は、ここにあると私は思っています。
後悔は一切ない
9年経った今、振り返って思うことを正直に書きます。
後悔は一切ありません。
技術もしっかり学べたし、寮で友達と遊びまくった日々は人生の宝物。学校生活は本当に楽しかったです。
「200万円の学費と1年の時間を投資する価値があったか?」と聞かれたら、迷わず「あった」と答えます。
辻製菓に向いている人・向いていない人
私の経験を踏まえて、辻製菓に向いている人とそうでない人を整理します。
向いている人
- 技術をしっかり学びたい人
- 有名店・ホテルへの就職を目指している人
- 業界のキャリアをしっかり積みたい人
- 寮で仲間と切磋琢磨したい人
- 長く製菓業界で生きていきたい人
向いていない人
- 卒業後すぐ独立したい人(経営知識が別途必要)
- 学費を抑えたい人(決して安くない)
- 一人で黙々と勉強したい人(寮生活が合わない)
まとめ
- 1年制で約200万円の学費
- 寮で「同じ志を持つ仲間」と濃密な時間
- 1学年約600人のマンモス校
- 実習中心で即戦力になれる技術が身につく
- 卒業生は街の個人店就職が一番多い(有名店ではない)
- 一番の財産は全国に広がるパティシエ人脈
- 「いい技術者になりたい」なら強くおすすめできる学校
辻製菓専門学校は、技術を学ぶ場所としてトップクラス。ただし開業・経営の知識は自分で別途勉強する必要があります。
「いい技術者として業界で生きていきたい」なら、辻製菓は最高の選択肢のひとつです。
🍰 おまけ:お菓子の豆知識
最後まで読んでいただきありがとうございます。せっかくなので、お菓子の豆知識をひとつ。
モンブランの本場はフランスじゃなくてイタリア
モンブランといえばフランスの定番スイーツのイメージですが、実は本場はイタリアです。
名前の由来となった「モンブラン」はアルプス山脈の最高峰の名前で、フランスとイタリアの国境にそびえる山。あの栗を使ったケーキの発祥は、イタリア側の麓ピエモンテ地方とされています。フランスのパリ「アンジェリーナ」が1903年に発売して世界に広めましたが、ルーツはイタリアの郷土菓子です。
パティスリーの世界は、こうやって国境を越えて伝統が広がっていく。製菓専門学校で学ぶ歴史の一片です。
――以上、9年目のお菓子屋店主マロンがお届けしました。


コメント