【完全ガイド】お菓子屋・ケーキ屋の物件選び|家賃6万円・13坪で開業した現役店主が全公開

開業・独立系
  1. はじめに
  2. 結論:お菓子屋の物件選びは「3つの軸」で決める
  3. 【公開】私の物件スペック・家賃・取得費すべて
  4. 物件取得費36万円の内訳
    1. 事業用物件の仲介手数料は割増になることがある
  5. 立地選びのリアル|商店街希望→駅近に着地した理由
    1. 最初は「商店街の近く」を狙った
    2. でも、いい物件がなかった
    3. コンビニ跡・チェーン弁当屋跡を検討
    4. 最終的に「田舎の駅近」に着地
  6. 事業計画から逆算する家賃の決め方
    1. 私の事業計画
    2. 家賃の上限ルール
    3. 「家賃20万円」を諦めた理由
  7. ライバル店が多い立地で9年生き残った3つの戦略
    1. ①SNSは開店準備中から運用開始
    2. ②商品はお客さんの声で改善し続けた
    3. ③接客は妻が担当、私は厨房に集中
  8. 居抜き・スケルトン・事務所改装の比較
  9. 事務所物件を改装するときの設備工事ガイド
    1. ①電気工事:200V引き込み工事
    2. ②ガス:プロパン
    3. ③排水:シンクを大型へ交換
    4. ④換気:大型ステンレスフード設置
    5. ⑤床:コンクリート打ちっぱなし
  10. 内見でチェックすべき7つのポイント
  11. 普通借家契約 vs 定期借家契約
  12. 【コラム】物件を借りずに「ネット販売だけ」で始める選択肢
    1. ネット販売だけで始めるメリット
    2. 注意:特定商取引法の住所表示問題
    3. 解決策:バーチャルオフィスを使う
  13. 物件探しの進め方と期間
  14. まとめ
  15. 🍰 おまけ:お菓子の豆知識
    1. 「シェフ」の本当の意味は「店主」じゃない

はじめに

マロン
マロン

物件選びで失敗すると、その後すべてが苦しくなります。9年経営してわかったポイント全公開。

「お菓子屋を開業したい。物件ってどうやって探すの?」「家賃はいくらが妥当?」「居抜きとスケルトン、どっちがいい?」

これは開業を考える方の最大の悩みのひとつです。

私マロンは製菓店を開業して9年目。家賃6万円・13坪・物件取得費36万円のスケルトン物件から始めて、今も同じ場所で営業しています。

この記事では、9年経営してわかった「お菓子屋・ケーキ屋の物件選びのリアル」を全公開します。家賃の決め方・取得費の内訳・立地の選び方・設備工事の現実まで、ネットで調べても出てこない数字とノウハウを書きます。

これから物件を探す方は、最後まで読んでみてください。

結論:お菓子屋の物件選びは「3つの軸」で決める

先に結論を書きます。物件選びは次の3つで判断します。

判断軸 基準
①家賃比率 想定月商の10〜15%以内
②設備の改装コスト 家賃以外に消える初期費用
③立地と業態の相性 テイクアウト主体か・ギフト客層か

特に大事なのは①家賃比率。これを間違えると、開業1年目から固定費に潰されます。

【公開】私の物件スペック・家賃・取得費すべて

参考までに、私のお店の物件情報を全部公開します。

項目 内容
広さ 13坪(店舗4坪:厨房6坪)
家賃 月6万円
物件取得費 36万円
物件タイプ スケルトン(元事務所)
契約形態 普通借家契約 2年
立地 田舎の駅近
駐車場 3台

地方の小さなテイクアウト中心の店なので、これだけのサイズで十分でした。

物件取得費36万円の内訳

「物件取得費って具体的に何にかかるの?」という方のために、私の実際の内訳を公開します。

項目 金額 補足
敷金(家賃3ヶ月分) 18万円 退去時に原状回復費を引いて返却
礼金 0円 大家さんの好意で免除
仲介手数料(家賃3ヶ月分) 18万円 事業用物件のため割増
保証金 0円 連帯保証人ありで免除
合計 36万円

事業用物件の仲介手数料は割増になることがある

居住用物件の場合、仲介手数料は法律で家賃の1ヶ月分までと決められています。

でも事業用物件(店舗・事務所)は別ルールで、3ヶ月分まで認められるケースがあります。これは知っておかないと「最初に予想したより多くかかった」となります。

開業準備で見落としがちな落とし穴です。

立地選びのリアル|商店街希望→駅近に着地した理由

私の物件探しは最初から駅近を狙ったわけではありません。実際の流れを正直に書きます。

最初は「商店街の近く」を狙った

開業計画を立てたとき、最初は「人が集まる商店街の近く」を探しました。お菓子屋は通行人の流入が大きいので、定石としてはこれが正しい。

でも、いい物件がなかった

商店街周辺の物件は競争率が高く、いいタイミングで空きが出ません。半年探しても出ない物件もあります。

コンビニ跡・チェーン弁当屋跡を検討

ある時期、コンビニやチェーン弁当屋の撤退跡地が空いていました。立地は最高。

でも条件が厳しかった。

  • 家賃:20万円
  • 物件取得費:100万円超

ランニングコストが私の事業計画と全く合わず、断念しました。

最終的に「田舎の駅近」に着地

最終的に決めたのが、今の物件。

  • 田舎の駅近
  • 物件前の通りの交通量が、田舎にしては多い
  • 家賃6万円
  • 物件取得費36万円

「妥協」ではなく「事業計画から逆算した最適解」だったと、今は思っています。

事業計画から逆算する家賃の決め方

ここが本記事の核心です。家賃は「事業計画から逆算」して決めるのが正解です。

私の事業計画

項目 数字
1日の想定売上 3万円
月の営業日 25日
月の想定売上 75万円

家賃の上限ルール

業界の鉄則:家賃は売上の10〜15%以内

家賃 月売上75万円での比率
7.5万円 10%(理想)
11.25万円 15%(上限)
20万円 26.6%(NG)

私が当初設定した家賃上限は10万円。これに対して実際は6万円(売上比率8%)で契約できたので、超優秀な数字でした。

「家賃20万円」を諦めた理由

コンビニ跡(家賃20万円)を選んでいたら、売上比率は26%。ここに人件費・材料費・光熱費が乗ったら、利益は1円も残りません。

立地が良くても、固定費が事業計画を超えたら破綻します。

これが「立地より家賃比率」の原則です。

ライバル店が多い立地で9年生き残った3つの戦略

私の店の周りには競合が多くいます。

  • 個人のケーキ屋:2件
  • 和菓子屋:1件
  • 大手チェーンのお菓子屋

「こんな激戦区で9年もよく生き残れましたね」とよく言われます。秘訣は3つあります。

①SNSは開店準備中から運用開始

オープン後ではなく、店ができていく過程をSNSで発信しました。

正直、フォロワー数は100人未満。それでも「お店ができていく過程を知っている地元の人」が、オープン直後に来てくれました。

②商品はお客さんの声で改善し続けた

開業前は「自信のある商品」を並べていました。でも、売れる商品とお客さんが欲しい商品は別物です。

オープン後、お客さんの声を聞きながら、人気のある商品を中心にラインナップを変えていきました。「作りたいもの」より「売れるもの」を優先するのがプロの仕事です。

③接客は妻が担当、私は厨房に集中

正直に書きます。私は接客が苦手です。

妻が接客上手で本当に助かっています。「家族経営」だからこそ、得意・不得意を分担できる。これも個人店の強みです。

居抜き・スケルトン・事務所改装の比較

物件タイプは3つあります。それぞれメリット・デメリットがあります。

タイプ 内装コスト カスタマイズ性 改装期間
居抜き(前が飲食店) 安い 制約あり 短い
スケルトン(何もない箱) 高い 自由 長い
事務所改装 中〜高い 自由だが工事多い 長い

私が選んだのは3番目「事務所改装」でした。事務所物件は「飲食店物件」より家賃が安いことが多く、コスト的にメリットがあります。

ただし、事務所→お菓子屋に変える設備工事が必要です。

事務所物件を改装するときの設備工事ガイド

私が実際にやった設備工事を公開します。事務所物件をお菓子屋にする方は必見です。

①電気工事:200V引き込み工事

業務用オーブン・冷蔵庫は200V電源が必要です。事務所には100Vしかなかったので、200V引き込み工事が必要でした。

これは見落としがちなポイント。電気容量が足りないと、業務用機器が動きません。

②ガス:プロパン

ガスはプロパンを使用。都市ガスより火力が強く、製菓向き。

③排水:シンクを大型へ交換

事務所のシンクは小さすぎたので、業務用の大型シンクに交換。排水管の太さや勾配もチェック必須です。

④換気:大型ステンレスフード設置

業務用オーブン・コンロは大量の熱と蒸気を発生させます。大きなステンレスフードを設置して、強力な換気環境を作りました。

これがないと、夏場の厨房は地獄です。

⑤床:コンクリート打ちっぱなし

事務所のフローリングを撤去し、コンクリート打ちっぱなしに。掃除しやすく、水回りに強い。製菓厨房の定番仕様です。

内見でチェックすべき7つのポイント

物件の内見では、次の7項目を必ずチェックしてください。

  1. 電気容量(100V/200V・アンペア数)
  2. ガスの種類(都市ガス・プロパン)
  3. 排水管の太さと位置
  4. 換気設備の状況(フード・ダクトの有無)
  5. 床材(フローリングか・コンクリートか)
  6. 入口・搬入口の幅(業務用機器が入るか)
  7. 看板を出せるか(外装工事の自由度)

これを知らずに契約してしまうと、改装工事が想定の倍以上かかります。

普通借家契約 vs 定期借家契約

契約形態は2種類あります。

項目 普通借家契約 定期借家契約
更新 原則自動更新 期間満了で終了
立ち退き 大家側から立ち退かせにくい 期間満了で立ち退き
家賃 普通 やや安いこともある

私は普通借家契約・2年を選びました。

理由は単純で、自動更新で長く使えるため。お菓子屋は内装に大金をかけるので、簡単に引っ越せません。普通借家契約を選んだのは正解でした。

【コラム】物件を借りずに「ネット販売だけ」で始める選択肢

ここまで物件選びの話をしてきましたが、実は「物件を借りずにネット販売だけで始める」という選択肢もあります。

お菓子の製造には自宅キッチンや間借り工房を使い、販売はBASEやSTORES、Amazonなどのネット販売プラットフォーム経由でやる方法です。

ネット販売だけで始めるメリット

  • 家賃ゼロ・物件取得費ゼロ
  • 立地に左右されない
  • 初期投資が圧倒的に少ない
  • 全国のお客さんに販売できる

注意:特定商取引法の住所表示問題

ただし、ネット販売を始めるとき「特定商取引法に基づく表記」で住所を公開する必要があるのがネックです。

自宅住所を公開するのは抵抗があるという方も多いはず。私自身も妻と子供がいるので、もしネット販売を自宅でやるなら住所公開はためらいます。

解決策:バーチャルオフィスを使う

こうした場合に便利なのがバーチャルオフィスサービス。月額1,000円〜で住所だけを借りられて、特定商取引法の住所表記に使えます。

個人事業主・ネット販売を始める方に人気なのがNAWABARI。月額1,100円という安さで、BASE等のネット販売プラットフォームと連携実績もあります。

👇 月額1,100円のバーチャルオフィス【NAWABARI】



ネット販売の住所表記に使える格安バーチャルオフィス。自宅住所を公開したくない方におすすめ。

「いきなり物件を借りるのは怖い」「まずはネット販売だけで様子を見たい」という方は、この選択肢も検討してみてください。

物件探しの進め方と期間

物件探しは、こんな流れで進めるとスムーズです。

  1. 事業計画を立てる(売上想定・家賃上限を決める)
  2. エリアを絞る(住居・通勤距離・市場性)
  3. 不動産屋に相談する(事業用物件専門が望ましい)
  4. 複数物件を内見する(最低5件は見る)
  5. 条件交渉(家賃・敷金・礼金・原状回復)
  6. 契約・引き渡し

期間は最低3ヶ月〜半年みておくと安心です。

まとめ

  • お菓子屋の物件は「家賃・改装コスト・立地」の3軸で選ぶ
  • 家賃は売上の10〜15%以内が鉄則
  • 私の場合:家賃6万円・取得費36万円・13坪で開業
  • 立地は事業計画から逆算して決める
  • ライバルが多い立地でも、SNS・商品改善・分業で勝てる
  • 事務所改装は設備工事の費用と知識が必要
  • 契約は普通借家契約がおすすめ

物件選びは開業の最初の関門。ここで失敗すると、その後すべてが苦しくなります。逆に、ここを乗り越えれば9年は続きます。

この記事が、物件探しの参考になれば嬉しいです。

🍰 おまけ:お菓子の豆知識

最後まで読んでいただきありがとうございます。せっかくなので、物件にちなんだお菓子の豆知識をひとつ。

「シェフ」の本当の意味は「店主」じゃない

ケーキ屋やレストランの「シェフ」、料理長のイメージがありますよね。

実は「シェフ(chef)」はフランス語で「長」「リーダー」を意味する単語で、本来は料理に限らない言葉です。

「シェフ・ド・キュイジーヌ(chef de cuisine)」が正式に「料理長」の意味。私たちが日常で使う「シェフ=料理長」は、フランス語の省略形が一般化したものなんです。

物件の「店主」「オーナーシェフ」も、本来は同じ系統の言葉。語源を知ると、お店の見方がちょっと変わります。

――以上、9年目のお菓子屋店主マロンがお届けしました。

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